March 24, 2006

ブログ小説#02(タイトル未定)

◆台所のとびら

<ゆうべ、この南モンタナの牧場の家の台所の扉を叩くものがあった。ここはイエローストーン川の近くだが、川はやがてミズーリ河に合流し、それから先へ行くとミシシッピー河に合流して、その後とうとう終の住処メキシコ湾に注ぐのだが、それはまたなんと、ここの山々やこの台所の扉やゆうべの扉を叩く音から、はるか遠く離れていることか>(『台所の扉』リチャード・ブローティガン)

台所のとびらを叩くものがあった。せわしい春あらしのいたずらかと、パーティの準備をしていたマダムたちがぎょっとして振り返ると、散髪を終えてかけつけてきた花婿だった。チコリのゴンドラにのってやってきたちいさなチップマンクみたいだとおもった。
「あんたおそいよ!どっかに行っちゃったよ、嫁はさ!勝手な娘だね」
「遠いっすよ、ここ。渋谷から車で100万時間かかった。ヒッ」
私はずっと窓からみていた。ヒマラヤスギにしがみついているところを。カンパリ・ソーダの幸福で、とっくに花嫁の臓腑には花が咲いていたから。

花嫁はうつくしかった。木の枝から星のオーナメントに手を伸ばしているそばに、生ぬるい風がドレスの裾をからかっていった。細い足首の上の白い腿がまぶしかった。そしてその上にはもうひとつの生命がかがやいている。

宴はなしくずしに盛り上がったようになってきてすっかり日もくれた。チップマンクがクリームチーズののっかったチコリ(笑)をくれた。
なのに私はそれを川にながしてみた。

この川はどこからきてるの?

「山?知らん。ヒッ」

この川はどこまでいくの?

「海?あ、東京湾、太平洋か、ヒヒッ」

東京湾?!

おどろいた。それまで海をみたことがなかったし、こんなさびしい街のちいさな川におおきな終の住処があるのは想像つかなかった。

投稿者 orangepeel : 09:55 PM | コメント (4)

March 23, 2006

ブログ小説#01(タイトル未定)

◆世界の中心では

「タバコない?」
最後のひと箱がカラになるとかならずきいてくる。私がもってるわけないのに。
信じられないことだけれど、ママはパート代をすべてタバコにつかってしまう。住宅街の中心にある喫茶店のウエイトレス。住宅街は世界のはずれにある。世界のはずれの瀟洒な住宅から、ヒマをもてあましたマダムがあつまってくる午後。ママとマダムたちは水曜定例のマージャンをうっている。コーヒーの香りよりタバコの煙りがつよくたちこめる 、街の中心。
「まっすぐ帰って勉強しなきゃダメじゃない」
とママはもっともらしく母親顔をしている。
コーヒーが飲みたかったの。ママが入れる、ファミレスのアメリカンよりも薄いコーヒー。

そういう私のバイト代はレコードと本に消えていく。Sly&The Family Stoneは、私が世界の中心だと確信している、街のはずれの中古レコード店で手にいれた。

 逃げ出し
 駆け出し
 ハ、ハ、ハ、ハ
 夜も昼もユウウツで
 ヒ、ヒ、ヒ、ヒ
     (『Runnin'Away』)

軽妙なリズムだが、これは借金取りにおわれている悲惨な男の歌なんだよ。

店長は苦笑いする。

うちにも住宅ローンがのこっててね。あと何年はたらかなきゃなんないんだろ。とっとと引退してサンフランシスコに移住したいよ。サンフランシスコは世界の中心だ。

「彼氏いないの?」
レジのそばで耳をそばだてていた店長の息子は11歳だがませている。白く細長い顔は母親似だ。
「お姉さん、初恋には遅いけど不倫には早いね」

店の裏にはおおきなヒマラヤスギがあって、ときどきゆうぐれにフクロウが飛んでくる。いつまでも店にいすわっていると「ホッホー」と鳴き声がするから、ああ、こんな時間だ、とあわててしまう。
ヒマラヤスギのあしもとには、ちいさな川がながれている。

こどものころ、この川のほとりで結婚式があった。花嫁のブライドメイドをしたからおぼえている。ヒマラヤスギにはまるでクリスマスのような飾りつけがほどこされていて、鯛をかかげた客人たちが準備中の台所のお勝手口をノックしてどやどややってきた。私たちはあわてて惣菜屋で調達したハムかつのサンドウイッチではらごしらえをしてて、ママや店長の奥さんたちははしゃいでアスパラガスに添えるポーチドエッグをきれいな黄金いろにゆであげてた。タンポポのレリーフがきざまれたスウエーデン製のガラスの皿には、ラディッシュのそばでバターがゆっくりと溶けかけていた。そう春だった。

(身勝手ながらブログ小説をはじめてみました:恥。
展開にご期待いただけなければやめます。。。。
こういう機会がなければ、いつまでもなんにもしない私ですから
不定期でぽつぽつ書いてみます、ハハ)

投稿者 orangepeel : 10:47 PM | コメント (4)

March 22, 2006

L'ecume des jours # 14

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投稿者 orangepeel : 11:26 PM | コメント (2)

March 19, 2006

春の嵐

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きょうはものすごい風でしたね。
春一番、というより木枯らしがまいもどってきたような。ちからを抜いて風にからだをあずけてあるいている男性がいてわらいました。器用なことするなあ。厭世感にひたっているようにもみえました(笑)。京王線からみた空が赤くけむっていてびっくり。赤土が舞い上がってる風景はひさしぶりです。靴のなかに砂利がはいった感触もなつかしかった。

世田谷文学館『花森安治と「暮しの手帖」展』にいってまいりました。
「暮しの手帖」は神田古書店で'50〜'60年代の古本が放出されたころからブームになってきたようにおもいます。私も大量に手にいれました。銀座gggでも展覧会がありましたね。なので今回の展示の趣旨がいまひとつわからなかったけれど、オリーブ少女(!)には好評みたいです。

モノクロームの豆カットがうつくしかった。花森氏は「英語がわからなくても見ておくように」と雑誌“The New Yorker”を編集部員にすすめていたそうです。しばらくやめてたけど“The New Yorker”の定期購読復活を決意しました。『花森安治と「暮しの手帖」展』にかんする書籍は購入せず(結構てもとにあったりするから)、世田谷区文学資料を。

「私が代用教員をしたところは、世田ヶ谷の下北沢というところで、そのころは荏原郡と云い、まったくの武蔵野で、私が教員をやめてから、小田急ができて、ひらけたので、そのころは竹薮だらけであった」(坂口安吾『風と光と二十の私と』)

文学館ちかくには“粕谷の竹林”なる竹薮がいまでもざわざわと春の嵐に翳ってました。
骨の芯までひえきって、いつもの下北沢のお店に。
さっそく若竹煮をいただきました(笑)。

投稿者 orangepeel : 11:06 PM | コメント (0)

March 16, 2006

駅前食堂

きのうのちいさな旅のメモ。
房総はやはりあたたかったです、ちょっと春。

東京駅からのった電車を途中下車して、昼食をいただこうと駅前の鄙びたかんじの食堂に。

短冊がたくさんぶらさがっていたから品数豊富なメニュかとおもいきや「エビフライ」「アジフライ」「チキンカツ」「トンカツ」などなど、フライばかり。しかも、とおくでかすかに「チンッ」という音がきこえたような。上司と部下で昼休みを連れ立ったふうのサラリーマン二人組や、仕事をおえて生ビールを一杯やっているタクシードライバーがとっているのはミックスフライ定食らしい。それぞれのテーブルの上に、マヨネーズ(業務用)が容器のままデンッとおいてあります。

無難に?ラーメンにしてみました。チャーシューが饐えてた。むりやりたべようかな、とおもったけどやめて、口からだして、そーっとお盆のはしっこに隠した。コック帽の店主がときどきキッチンから私の顔をのぞくのです「お客さん、町の人間じゃないね」といったようすで。レジの上に目立って貼られた『清潔な店・優良店』というステッカーが微妙に気になりました。若いほうのサラリーマンが定食の皿の端にのっかったオレンジのひときれを、最後にうまそうにしゃぶっていました。

肩を落として店をでて、お口直しにコーヒーを一杯♪と、レトロな喫茶店を一軒みつけたらシャッターがおりていた。しもたやなのかな。ガラスケースのなかで埃をかぶったフルーツパフェの食品サンプルに、傾きはじめた午後の日差しがあたってました。うらめしく、いつまでものぞいたりして。オレンジのひときれでもいいからください。

投稿者 orangepeel : 07:38 PM | コメント (4)

March 15, 2006

suburbia suite

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平日の房総半島の丘陵部、湖畔にある郊外型アウトレット総合施設にいってまいりました。お仕事の下見です。
おおきな観覧車が九十九里浜やとおくの摩天楼をのぞみます。

リニューアルの春をまっています。

投稿者 orangepeel : 11:22 PM | コメント (0)

March 11, 2006

L'ecume des jours # 13

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投稿者 orangepeel : 11:27 PM | コメント (0)

March 09, 2006

RELIEF MAP OF SAN DIEGO AND BAY , CALIFORNIA

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地図がえがかれた、めずらしい古絵葉書。

2セントの切手がはってあるのに消印もなく。
「いま、ここにいます」と伝えたくてためらった葉書なのでしょうか。

カリフォルニア州、起伏にとんだサン・ディエゴ湾の地形図のうえに通りの名前などがはいっています。
「これから出港します」という旅立ちのメッセージだったかもしれませんね。

だんだん、春めいてまいりました。

投稿者 orangepeel : 10:25 PM | コメント (0)

March 07, 2006

Report

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Hiromi Suzuki

最近のお仕事。

写真は住宅関係のリーフレットです。
先週の3月2日付日経新聞夕刊にも15段で掲載されております。
購読されていらっしゃるかた、ぜひ、新聞“紙”(笑)をチェックくださいませ☆

『Forbes 日本版』にて、内館牧子さん連載エッセイのイラストレーションはじまりました。

投稿者 orangepeel : 08:32 PM | コメント (0)

March 05, 2006

SWEDISH POP #02

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ANNIKA SKOLD LINDAU
Bookillustration: Nature for soul and heart Client: Swedish society for nature conservation

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LARS REHNBERG
Campaign for Arla.

ときどきこのお仕事をはかなむことがございます(笑)。
先のことなどわからないし。そしてそんなふうにすっとぼけてるワタシはたぶん「のんき」な人間です。

ところで(なにが「ところで」なのか、ハハ)、またまたスウェーデンのイラストレーションに気分をすがすがしくさせてみるのです。いま、いちばんニュートラルな空気を発しています。

投稿者 orangepeel : 09:53 PM | コメント (0)

March 03, 2006

動物園

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最新号のBRUTUSは「動物園に来てみない?」と題した特集。表紙にかさなった厚手のトレペ?にぼんやり印刷された白クマくんがリアルです。製本のこういう細工に、うっときます。一冊で世界の動物園をめぐれるの?ステッカー付録だから買いました(笑)。

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上の2枚は'04年にロンドン動物園で撮影しました。
写真にはないですが、このときあったペンギンプールは昨年使用中止になってしまったそうです。
アートスクールの学生さんが熱心にデッサンしてた記憶が。1934に建築家バーソルド・ルベルトキンが設計したうつくしい建築物でしたが陽当たりのかねあいでペンギンの生態とあわなくなってしまったとのこと。
London Zoo 、および上野動物園のパンダちゃんのmicrojournalバックナンバーもどうぞ☆

投稿者 orangepeel : 11:54 PM | コメント (0)

March 02, 2006

洋酒マメ天国

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'68年発行『洋酒マメ天国』16号はおつまみ読本。
山下勇三氏の艶っぽいイラストレーションもさることながら、辻勲氏おすすめのお料理にはツバをのみます。
フォアグラって私は大好きだけど苦手なひともおおいのかな。野菜では、アーティチョーク(朝鮮あざみ)ってまだ食べたことない。百合の根とそらまめの味を想像せよとなると非常にそそられます。よくフランス映画や小説にでてくるけれど、一枚一枚歯でこそいで味わうというの、なんだかじれったそうだけどうまそうです。茹でてレモン汁をしぼって塩コショウでシンプルにいただくそうです。

名刺サイズのかわいい豆本。すてきなレシピがいっぱい。古書猫額洞にて購入。

投稿者 orangepeel : 09:35 PM | コメント (0)

読書

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本日のホワイティ。
「読書の邪魔しないで!」

読書って・・・・。
それ、洋酒マメ天国だよね?

投稿者 orangepeel : 08:57 PM | コメント (2)

March 01, 2006

酩酊

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本日のホワイティ。
パブで酩酊状態♪

投稿者 orangepeel : 08:25 PM | コメント (2)